資格取得を通じてビジネス界に必要とされる人材の育成に努める大分県立中津商業高等学校では、情報管理科の正規カリキュラムとして2006年4月にIC3を導入しました。
同校情報管理科の渡邉司さんに導入の経緯やメリットなどについてうかがいました。
どのような経緯でIC3を導入されたのですか?
当校の情報管理科では、卒業までの3年間で『全商情報処理検定1級』の取得を目指していますが、2005年度からはより高度な『初級システムアドミニストレータ』(以下、初級シスアド)取得に向けたカリキュラムを組み入れるようになりました。
しかし、『全商情報処理検定1級』と『初級シスアド』の内容・レベルには大きな隔たりがあり、『初級シスアド』の取得は、学生にとってかなり困難なようでした。そうした状況を受け、両資格の間にあるギャップを埋め、橋渡し役を担う資格試験としてIC3に注目したのです。
導入前、渡邉さんも受験されたそうですが、実際に受けてみていかがでしたか?
カリキュラム導入前の2005年、私は情報管理科に在籍する生徒3名とともに『チャレンジ! IC3』に挑戦してIC3を取得しました。
そのとき、何より痛感したのは、情報管理科は“情報”を学ぶ学科でありながら、その教育課程のなかでは実社会に必要な知識やスキルがほとんど身についていなかったということでした。実は、私と一緒に『チャレンジ! IC3』に挑戦した生徒は、いずれも『全商情報処理検定1級』の学習を終了していたのですが、それでもIC3に合格することができませんでした。その結果を受け、本校の情報教育の在り方と現実の情報化社会との格差について考え直すようになったのです。
さらに、自分自身が受験者としてIC3に取り組むことによって、ITに関する基本的な知識・スキルを体系的に整理できましたし、指導方法を改めて見つめ直す良い機会にもなりました。
数多くある資格試験のなかでIC3を選ばれたのは?
ITに関する資格や検定試験は数多く存在しますが、社会のニーズに応えるスキルや知識をバランス良く盛り込んだ試験は、私が見る限りはIC3だけだと思います。
『コンピューティング ファンダメンタルズ』の科目では、実社会で最も必要とされるトラブルシューティングを基礎から学ぶことができますし、『リビング オンライン』では情報化社会に不可欠なセキュリティーや情報モラルの基礎が網羅されています。また、『キー アプリケーションズ』では、各アプリケーションソフトの操作方法を一から学習することが可能です。
このようにIC3は、ITの持つさまざまな側面を、具体的かつ実践的に理解・習得できる点に共感を覚えました。
IC3取得には、どのような体制で取り組んでいますか?
現在、情報管理科2年生のカリキュラムにIC3を導入しています。
一学期に『コンピューティング ファンダメンタルズ』を学習して夏休みに受験。二学期に『リビング オンライン』を学習して冬休みに受験。三学期に『キー アプリケーションズ』を学習して春休みに受験。というように、1年間を通じて3科目に合格してIC3を取得することを目標にしています。
とはいえ、IC3には受験者が受験時期を設定できるという利点もあるため、カリキュラムの進捗状況や生徒の理解度を鑑みながら、最適なタイミングでIC3の試験を受けることが可能です。実際に、本校でも約40名の生徒が夏休みを待たずに、2006年の7月末に『コンピューティング ファンダメンタルズ』を受験しました。
しかしながら、合格者は数名で結果自体はあまり芳しくありませんでした。やはり、教材に書いてある内容を覚えこませるだけでなく、教材には載っていない実務的な知識を、実際のカリキュラムのなかで指導者が適宜補足していかなければ、合格は難しいと感じました。
現時点での、IC3導入後の感想をお聞かせください。
就職後の現場で“即戦力”として求められる知識やスキルが、どのレベルに達しているかを判断するのは難しいことです。その点、IC3は情報リテラシーのスキルの到達評価基準として世界的な実績がありますし、また、実践的なITスキルを養うことも可能ですから、導入を推進して本当に良かったと思っています。
※掲載内容は2006年8月取材時のものです。