葛野大路通り(京都市右京区)に面した校舎外観
情報教育への積極的な取り組みと、学生の意志・個性を重視した教育で知られる京都光華女子大学。
同大学は、2002年に日本でIC3(アイシースリー)という資格試験が実施されて間もない2004年度に、すでにその内容に対応した科目を導入し、さらにその後はその講義を学内外にeラーニングで配信するなど、情報教育の先進校にふさわしい大胆な取り組みを続けています。
2004年度当時から、大学内でのIC3の活用に意欲的に取り組まれているキャリア形成学部の阿部一晴准教授にお話をうかがいました。
御校では、いつ頃からどのようなカタチでIC3を活用しているのでしょう?
本学は、20年以上前から全学横断組織として情報教育センターを設置し、学生全員にメールアドレスを配布するなど、情報リテラシーや情報技術の教育については早くから活発な活動を行ってきました。パソコン教育なども、その他の大学に先駆けて導入していましたが、当時はもっぱらアプリケーションの操作が中心。そこで私は、今後ますますIT化が進む時代を生きる若者にこそ、コンピュータやインターネットがどのように動き、機能しているのかという原理的な仕組みを補強していく必要性を感じていたことから、2004年に、「コンピュータ基礎」(前期)および「ネットワーク基礎」(後期)という科目を新設し、IC3の「コンピューティング ファンダメンタルズ」「リビング オンライン」の2科目の試験範囲を網羅した内容でのカリキュラムを開講しました。
IC3の活用を決定した理由をお聞かせください。
IC3のことを知って最初に思ったのは、学生が社会に出たときに必要とされる、デジタルリテラシーを身につけるための内容がバランス良く構成されている資格試験だということでした。コンピュータそのものの知識、ネットワークの知識、アプリケーション操作の3つの領域に分かれていて、それらを個別に評価することができる。それと、この資格がデジタルリテラシー習得の客観的な到達評価基準として、世界的に実績(※1)のある点にも注目しました。
現在は、IC3を活用した授業をeラーニング形式で行っているとか。
当初は教室での講義型で行っていましたが、2013年の4月より、同大学のIC3関連の授業は、全学部を対象にすべてeラーニングで実施されています。さらに2013年度からは、「大学コンソーシアム京都」(※2)が運営するeラーニングシステムの「e京都ラーニング」にも配信を開始しました。「大学コンソーシアム京都」の活動のひとつには、京都にある国公私立の各大学や短大間での科目履修のネットワーク化も含まれるため、このシステムに参加する、約50の大学・短大からも「コンピュータ基礎」および「ネットワーク基礎」を履修・単位取得することが可能になりました。
大学教育にIC3を取り入れる意義とは?
eラーニングという形態により、学生は履修時間を自分で選択でき、教える側は一人ひとりの履修の進捗状況や理解度を細かく把握していきます。掲示板にランダムに入ってくる学生からの質問にはすべて個別にコメントしていくので手数はかかりますが、やり取りを重ねた分だけ理解度が深まっていくことを学生自身が自覚しているようです。
本学では、こうした履修成果の実力確認としてのIC3取得という流れとしていますが、IC3はきちんと勉強すれば受かる試験なので、学生自身が頑張って合格したこと自体が自信になっている部分も大きいと思います。私は、“まじめに勉強すれば、合格という目標を達成できる、資格取得という成果を得られる”といった成功体験を、学生時代にひとつでも多く経験させたいと思っています。そうした経験を次へのバネにしつつ、より専門的な上級資格や社会人になってからの挑戦意欲などへと道筋をつけることが、キャリアアップのためにはとても大事だと考えています。
※ 1 CompTIA(コンピュータ技術産業協会)やACE(アメリカ教育協議会)など、
9つの産・官・学の国際団体から推奨を受け、世界110カ国以上で実施されている。
※ 2 教育研究のさらなる向上と成果を、地域社会や産業界に還元することを目的として発足された公益財団法人。
本団体が、大学全国の大学連携組織の先駆け。
※記載内容は2013年11月にインタビューしたものです。